街並みに映える柔らかなモカ色の外壁。緩やかなアールを描く玄関までの曲線的なデザイン。温かな雰囲気でお客様を迎え入れるドアは、落ち着きあるグリーン。I様邸は、岩見沢駅から徒歩数分の街の中にある、美容室との店舗併用住宅です。

「以前の店舗もこの近くの4条にありました。JRを利用して札幌からいらしてくださるお客様も多いので、アクセスの良いこの土地が見つかって良かったです」とI様。美容学校卒業後、札幌で12年務め、その後、岩見沢に2000年、ご夫婦でヘアー・ミーツをオープンさせ、2012年9月に現在地に住宅併用のお店を構えました。

「実は、他の会社と建築の話を進めていたのですが、意思の疎通が図れず...。佐藤工務店さんのことはインターネット検索で知りました。たくさんの話を聞いていただいて、打ち合わせを重ね、思っていた以上の仕上がりになりました」と話します。

店舗入り口のドアノブはアイアンではマッチしないと、真鍮製のドアノブを探し、自ら磨き上げ取り付けるというこだわりよう。
独特の雰囲気のある外観は、カフェやイタリアンレストランのようと、言われることも多いそう。「外壁の塗り方で、気に入っていたものがあり、お願いしました。コテの後部を使って縦・横・斜めに抑えながら模様をつけていく技法で、職人さんも施工事例がなかったそうですが、参考資料の写真を見て、同じように仕上げていただきました」。

店内は、白い壁に落ち着きのある家具や建具がアクセントになっています。「旧店舗では3つあったセット面を、2つに減らし、余裕のあるゆったりとくつろげる空間になっています」。インテリアにもこだわり、自分たちで探してきたグッズをディスプレイ。「内装部分の仕上げのディテールや、仕事で使うもの、飾っている雑貨などは、ほぼ妻が決め、探してくれたもの。おかげで好きなものに囲まれる心地良い空間になりました」とI様。

また、「以前の店舗の白い足場板を剥がし、新店舗で再利用しています。剥がした板の裏のバリを、ノミで丁寧に取ってくれて...。大変な作業だったと思うのですが、いやな顔ひとつせず、作業をしてくれていてとても感動しました」とも。

「店舗併用住宅ですが、重きを置いたのは店舗部分。希望、こだわりなども8割方、店舗に集中しています。自分たちの生活があるのは、美容師という仕事があり、お客様がいらしてくださるから。そのお客様に気持ち良く過ごしていただけたら...そう考えて設計してもらいました」と話します。

「これから先、5年、10年、15年...と年を重ねるごとに深いお店にしていけたら、と思っています。大切に使いながらも、キズの一つひとつが味になり、思い出になっていく。心からそう思える建物を建てていただけ、本当にうれしいです」。

たくさんのお客様の笑顔があふれるこの場所で、これからもたくさんの"キレイ"を提供してくれることでしょう。

（取材日／平成24年10月中旬）